ラスボス・高島津絢子のもとに、復讐の刃を近づけていく市村ハナ。
謎のフランケン女がハナへの逆リベンジをたぎらせ、絢子にハナが生きていることを知らせます。
第7話「ごめんね」では、天才整形外科医・内田と菊乃のクスッとなるかけ合い、いじめに加担した桐谷ヤエ子との再会、そして顔の美醜で態度をコロリと変える人間の浅ましさへの軽蔑を描いています。
また、フランケン女の正体が明らかに!
作品名:「美醜の大地~復讐のために顔を捨てた女~」
作者:藤森治見
「美醜の大地」第七話「ごめんね」あらすじとネタバレ
下足ふきにされたいじめの記憶
雪が溶け、ぬかるんだ地面から福寿草が顔を出す春。
女学校時代、絢子はハナを地面に突き飛ばし、汚れた靴をハナの背中で拭って校舎に入っていった。
絢子の取り巻きたちも次々にハナを踏みつけ、ほかの女子たちにも無理やりハナを踏ませる。
桐谷ヤエ子も、そのひとりだった。
ヤエ子はいじめに積極的に加担はしなかったが、学校で強い権力がある絢子の手前、そうしないわけには行かない。
「ごめんねェ、ハナ」
口で謝りながらも、ヤエ子の表情はあきらかにハナを見下して笑っていた。
皮一枚で変わる人間の浅ましい心
ハナは、うわべの美しさ、皮一枚でこうも態度を変える人の心の浅ましさを軽蔑していた。
偶然再会したヤエ子は樺太時代以降の話をべらべらとしゃべり、ハナが船で亡くなったことになっていることも知らなかった。
そして手を握り、「謝りたかった」と言い出す。
あの頃は絢子のグループに逆らうと自分がいじめの標的にされそうで、仕方なくやってしまったのだ、と。
そんなヤエ子を見て、復讐してやりたいほどの憎しみはないものの、ハナは彼女の偽善に気づいていた。
いじめたという過去の罪悪感から、この女は救われたいだけなのだ。
ヤエ子が望んでいるであろう許しの言葉をかけたハナだったが、もちろん許してはいなかった。
「美醜の大地」第七話の感想
ドクターの本名がわかった今回ですが。『内田胤篤』、う~んかっこいい名前ですね。士族とか華族みたいな雰囲気です。
それにしても、優秀なドクターが実は『自分の身の回りの面倒を見られないうっかりさんで忘れっぽいダメ人間』だったと発覚し、菊乃さんが「わたしがついていないと」というくだりに、ほんわかしてしまいました。
たまにいますよね、こういう方・・・勉強や仕事は優秀だけど生活面で何もできないタイプ。
菊乃さんの庇護欲(自分がいないとこの人はダメ!)をそそるという意味で、パーフェクトなカップルです。
ドクターのおかげで美女に生まれ変わったハナでしたが、醜かったころに受けた人々の冷たい仕打ちがトラウマとなり、美しくなった今でも人間への強い不信感に満ちています。
醜いから、という理由でいじめられたハナにとって、今男性たちからチヤホヤされても白々しいばかりですよね。むしろ、なんて浅ましいんだろう、と軽蔑しきっています。
絢子に会いに来たフランケン女の正体は第一話で登場した最初のターゲット・敏恵でした。あんな顔になっちゃってたのね・・・。
絢子と復讐のタッグを組んで、今後のハナがヤバそうです。
つぎなるハナの復讐のターゲットはヤエ子になりそうですが、「復讐したい」と思えるほどの憎しみはなくても、「間接的にいじめに加担した」相手というのもより卑怯に思えて苛立ちますね。
今更、自分の中の罪悪感を消したくて「ごめんなさい」なんて言われても、過去は消せませんよ、と。
ラスボスである絢子にたどり着くために、不安要素をすべて排除しておきたいハナ。
次回はどんな復讐が待っているのか。藤森治見先生、早く新話お願いしま~す(^O^)/