復讐のために顔を捨てた女・市村ハナ。奥田スミ子に復讐を果たした前回でしたが、今回は宿敵である高嶋津 絢子の樺太引き上げ後の生活が見え隠れします。
4番目の復讐相手・瀬尾 サチは絢子のもとで働いていたものの、そこはすでに地獄でした。
作品名:「美醜の大地~復讐のために顔を捨てた女~」
作者:藤森治見
「美醜の大地」第四話「情け無用」あらすじとネタバレ
瀬尾 サチによるいじめ
樺太の女学校時代、瀬尾 サチはナイフでハナのカバンや教科書を切り裂き、ボロボロにいじめて馬鹿にしていた。
サチは絢子は別格として許せたものの、ハナが自分よりも頭がよく、成績優秀で試験で一番をとっていたことが許せなかった。
ハナを心底憎み、ハナが乗っていた船が沈んだと聞いたときも喜んでいたほど。
ハナから見れば、言いがかりにも等しい、理不尽ないじめだった。
サチのその後の人生
引き上げ船から降りたその後、サチの人生は暗転した。父親は事業に失敗して多額の負債を抱え、母親は心を病んで自死を選んだ。
借金を返すためにサチは体を売るしかなく、いつしか誰の子かわからない子を身ごもり、息子を産んだ。
息子の進司を連れて旭川の祖母のもとに預けたあと、偶然札幌で絢子と再会し絢子の屋敷で働くことに。
だが、絢子の夫・白川は『お人形遊び』が大好きな異常者だった。
優しく微笑む白川の手には、鎖やベルトなどの拷問道具が握られていた。
それは想像以上に辛い仕事であった。白川に拷問まがいの『遊び』を強いられる日々。
進司と祖母に美味しいものを食べさせてやれる、とサチは歯を食いしばって耐えていた。
非情になりきれなかったハナ
大切な家族を奪った連中への復讐を強く誓ったはずのハナ。
しかし、ハナはサチにとどめを刺すことができなかったのだった。
サチのためではなく、サチの幼い息子・進司の姿が、かつて愛した弟の留吉と重なり、あの子から母親を奪いたくないという思いが邪魔したから。
絢子と白川の異常な夫婦関係
白川グループの御曹司と婚約し、今ではその妻におさまっている絢子。
金持ちの奥様と、エリート夫という組み合わせは表面的なもので、異常な性癖をもつ白川のためにサチを「お人形」にしていました。
白川は「お人形遊び」が大好きでしたが、発言内容からまだサチに行ったような振る舞いはしていないことがわかります。
4話ラストでは、地下室の天井からぶら下がった白川が放置プレイで「絢子様ぁ・・・!早くそのムチでぶってぇ!」とおねだりする様子が。
ゴミか虫けらを見るような冷たい目で見ている絢子は、まさに『絢子様』と呼びたいくらいに女王様然としていました。
「美醜の大地」第四話の感想
てんこ盛りの4話でしたが、まずハナが前回のスミ子への復讐で死なせてしまったことを後悔していたことが挙げられます。
根が優しいハナはあくまで苦しませることがメインで、命まで奪うつもりはなかったのでした。
また、サチについてはすでに過去の罰を受けていると言ってもいいほどひどい目に(借金で身売り、白井のおもちゃになる)あっていました。
だから、サチへの復讐は失敗しましたが十分に苦しんでいますよね。
ハナの復讐心が揺らいでいる中で、絢子は相変わらずの女王様っぷりを発揮しています。
そしてあの冷酷さも健在。ハナ、大丈夫!?と、これからの復讐ができるのかと心配になってきます。
復讐を応援したくなるヒロイン、というのも不思議なものですが、ラスボス・絢子の強さと無情さを見ていると「ハナ、頑張って!」と応援したくなってしまいます。
早く続きが読みたいですね!!