残酷な社長令嬢・高島津絢子のいじめにより、すべてを奪われて復讐に手を染める市村ハナ。前回は絢子の取り巻きのひとりである敏恵を再起不能に追い込み、一人目の復讐を完了しました。
今回はいじめに加担した女・百子がターゲットです。なかなか、エグい復讐劇になっています。
作品名:「美醜の大地~復讐のために顔を捨てた女~」
作者:藤森治見
「美醜の大地」第二話「罪の記憶」あらすじとネタバレ
偽の手紙でハナをはめた女・百子
第二の復讐の相手・百子は、女学校時代のときにハナを手紙でだました過去があった。
待ち合わせの場所に行ってみると汚らしいおじさんに「俺をなぐさめてくれよぉ」としつこく迫られたあと、待ち伏せしていた絢子たちに川に落とされる。溺れるハナを、冷たく見つめる絢子・・・
悪夢の中、水底にいる亡き母と弟の姿が見えて、ハナは苦しむ。
貧乏農家で重労働から逃れたい
百子は樺太からの引き上げ船のあと、北海道別海町の親戚を頼って貧乏農家で重労働をする日々を送っていた。
樺太の女学校時代は、毎日清潔な服を着て友達と楽しく過ごしていたのに、と絢子たちと過ごした青春をなつかしむ百子。
ある日、結婚話が持ち上がり、結婚すればこの生活から抜け出せると喜んだのもつかの間、縁談相手の長谷川熊造に会ってテンションが下がる。
農家を営んでおり、高齢の両親がいるという見るからに気持ち悪い容姿の中年男にゾッとするばかり。
白馬の王子様が現れる
熊造と結婚したら、実家を援助してくれる約束になっており、家族はしきりに百子に結婚をすすめる。
このままここにいても、結婚しても人生いいことなんてない。誰かにつれだしてほしい。
そんな願いが叶ったかのように、見目麗しい男性が車から降りてきて道を尋ねてきた。
田舎には似つかわしくないほど、身なりのいい優しい人。
彼の名は杏一郎と言い、百子は彼に夢中になり彼の言うままに一緒に駆け落ちすることにした。
彼と駆け落ちをして結婚、のはずが・・・
「一生僕のそばにいてほしい」と指輪でプロポーズされ、旅館でふたりの初夜を迎える。
杏一郎さんととうとう結婚したんだ、という幸せな朝を迎えたはずが、目が覚めて百子は愕然とする。
隣には美しい杏一郎ではなく、醜い熊造が寝ていたのだった。
まったく身に覚えがないことに、ふるえる百子は・・・
「美醜の大地」第二話の感想
いじめられた側はそのことを一生覚えているけれども、いじめた側はあっさり忘れる・・・今回のお話は、その恨みが炸裂したかのような内容でした。
百子は女学生のときは絢子の使いっ走りのポジションで、それほど性格は悪くない子のようでしたが、ハナへのいじめに加担していました。
百子自身にはハナをいじめていた、という認識が薄く、ハナの存在すら忘れていたのが作中の様子からわかります。
ハナからすれば、百子のようにいじめた事実を忘れていること自体、許しがたいこと。
カッコイイ「杏一郎」を使って夢を見るだけ見せたあとに、地獄の底に突き落としています。
さて、今回「杏一郎」としてハナの復讐を手伝った菊乃さんですが、子供のころから自分の性に違和感があって軍隊で怪我をして先生と出会い、除隊後に手術をして女に生まれ変わった、という過去が明かされます。
「初めてわたしをバカにしない人に巡り会えた」という菊乃さん、素敵ですね。菊乃さんも手術で生まれ変わったからこそ、ハナが他人事には思えずにサポートしてくれています。
美しい「菜穂子」の顔を憎しみで歪めながら、復讐に身を投じるハナ。つぎなる復讐が彼女を待っています。